禁断の妄想考古学・旅路編

 さて、今回東京都西部の青梅市に向かった理由は、研究対象である蛇体把手土器の調査の為でした。しかし、初めて訪ねた青梅という土地と、土器の出土した駒木野遺跡の立地を見て、ちょっと感じたことを書こうかと思います。

 長野新幹線が開通してからというもの、電車で実家や東京に向かう場合はそれを使うので、中央線に乗る機会は滅多にありません。そんなこともあり、窓から見る景色も楽しみにしていたのですが、今までは漠然と思っていたことが、今回明確に分かりました。八王子を過ぎ立川に向かう辺りで、はっきりとそれを感じたのです。
「山が、終った」
 標高1300mのわが家からずっと、常に山の中にあったからでしょうか。なんだか急に外に投げ出されたような気分でした。あとで地図を確かめると、やはり浅川か多摩川を越えた辺りだったようです。
 そして、立川駅で乗り換え、初めて青梅に入ったわけですが、青梅の駅を降りて、今度はまた逆の意味で驚きました。
「ここから、山が始まっている」
 さらに、駒木野遺跡です。青梅市郷土博物館に向かう途中、計らずもその地に立ったわけですが、そこは正に山塊の東端。西には多摩の峰々が連なって見える一方で、東側は大きく蛇行する多摩川が、20メートルの崖を作ることでそれを突然に終らせる。そこから先は、果てることない関東平野。
 もちろん、地図を見ればそこまで単純ではないのですが、体感として、そう感じました。
IMGP6344.jpg

 帰路、電車に揺られながら、対象としてきた土器の分布と、これまでの自分の旅路を重ね合わせていると、いつの間にか、こんな妄想が。
 遥か5000年昔、もし私が八ヶ岳西南麓に住んでおり、何かの理由で旅に出るとしたら。例えばそう、世界の果てを見に行くとか…。

 犬の1匹も連れていたかも知れない。オオカミが人を襲ったかどうかは分からないが、用心に越したことはない。
 野宿も覚悟だが、現在「遺跡」と呼ばれる村々を宿に歩くだろう。まず八ヶ岳を背にした後、南アルプスを右手に見つつ、霊峰富士に向かって進む。やがてそれは御坂山地に遮られるが、東に向かえば大きな村がいくつもある。その後、あるいは大菩薩峠に向かっただろうか。峠を越え、そのまま多摩川沿いを下れば、やがて駒木野に行き着く。
 そして、川を挟んだ対岸には、これまで見たこともない広い平野が広がっていた。
 ここと向こうをを往来する人々も、無論いる。しかし、私は思ったに違いない。ここから先の広い平野は、自分の住む世界とは違う世界だと。自分の旅は、ここで終るんだと…。 
 調べている土器も、今のところ、ここが最東端。ひとまず、旅はここまでのようです。
 以上、たわいもない妄想として。


 その後、私はこの村で出会った若くて美しい娘と恋に落ち…………あ、書き過ぎた!
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Comment

No title

でもね、そこから南に向かって丘陵沿いにもっと東へ進んだ人たちもいたのだと思うのですよ。
それとは別に、まったいらな土地の人たちはムラの構えとか土地の使い方が違うのですね。
これ、来年度のお仕事のテーマです

Re: No title

> でもね、そこから南に向かって丘陵沿いにもっと東へ進んだ人たちもいたのだと思うのですよ。
そうなんでしょうね。遺跡や土器の分布からいっても。
私自身、相模原市の橋本遺跡とかも掘りましたし。
ただ、若くて美しい娘と恋におちてしまって…。

> それとは別に、まったいらな土地の人たちはムラの構えとか土地の使い方が違うのですね。
> これ、来年度のお仕事のテーマです
おぉ、そうですか。興味深いです。
だいたい、考えてみたら、私はまったいらな土地の出身でしたね(笑)。
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