学問はつながる…岸和田の旅その4

 年も明けてしまいましたが、まだ岸和田の旅で引っ張ります。
 前回はきしわだ自然資料館の常設展について書きましたが、今回は旅のメインである企画展「モササウルス展」について。
 企画展示室は決して広くはありませんが、その内容は大変充実しております。
 各所にプロデューサー的立場である徳川広和さんのアイディアが活かされているようです。解説パネルの文字の量や内容も、程よいさじ加減。さすが世界中の博物館を見て歩いているだけはあります。また、展示されていた化石資料も、小田隆さんによる復元画も大変素晴らしいものでした。特に小田さんの作品は、その製作工程を講演で話されたこともあり、大変興味深く拝見させて頂きました。
 さらに二日間にわたって行われた講演会について。18日は「古生物復元セミナー」19日は「モササウルスのいた海」ということで、それぞれ最先端の研究者やアーティストの方々からの発表がありました。詳しくは公式ブログをご覧下さい。どうです、「藤森英二」以外は本当に豪華な顔ぶれですよね。
 
 さて、講演の内容については、既に多くの場で書かれていますので、ここでは相変わらず自分語りで(笑)。私も一応考古学研究者の端くれ。分野は違えど、共感出来た部分を紹介したいと思います。
 講演の中で、カナダ王立ティレル古生物学博物館研究員の小西卓哉氏さんが、化石資料をスケッチすることの重要性を話されていました。会期中小西さんとは個人的にお話もさせて頂きましたが、スケッチ(考古学では実測図かな)は、私もととても重要視しているとお伝えしました。写真とは違う、またどんなにデジタル化や3Dスキャンの技術が進んでも、自分の手で描くことは研究者にとって必要不可欠だということで意見が一致しました。何だか嬉しいですね。
(ちなみに小西卓哉さんによる展示解説では、私はちゃっかりとモササウルスの復元について有益な情報をお聞きすることができました。これはまさに、take and take!)
 また企画展示の中に、モササウルス復元画の変遷という展示があります。これも素晴らしい。よく研究史を無視して、「あれは古いから駄目」とか、新しい論文等に無批判に飛びついて「これこそが最新!」とかいう記事を目にしますが、そういう態度は必ず足下をすくわれます。これは考古学も同じ。その時点でなされたしっかりとした研究は、必ず得るものがあるのです。

 とにもかくにも、本当に楽しい2日間でした。改めてスタッフの方々に感謝申し上げます。

 そして、この全てについて、その人たらし振りを多いに発揮した徳川広和さん。あなたがいなかったら、私なんかがこのような会に参加することもなかった。あなたは完全に、古生物業界のHUBになっていますよ。益々のご活躍を期待します。

 と、褒めたところで、以下、フィクション扱いで。
 これだけ見せつけられると、やっぱりモササウルス類の一つも作りたくなるのが人間の性。でも、どうせ作るんだろうなぁ、徳川さん。絶対かなわないしなぁ…。あ、そうか、読めましたよ、彼の考えが! 私をその気にさせ同じネタを作らせ、そして比較することにより自分の力量を世間に知らしめるという、これは古生物造形界を我が物とする徳川の野望に違いない!!
 それと、この豪華メンバーの中で、私のような一介のアマチュアに話しをさせるなんて、なんて度量の深い男かと思いきや、私を最後に持ってきたのは、ずばり時間調整のためだった疑念が!しかしこちらには十年を超える学芸員としての経験があります。少ない時間でインパクト勝負となれば、それなりにやり方もあるってなもんです。
 ということで、「古生物復元」という視点からは無意味でも、より人生を楽しむという話しは、少し出来たでしょうか。まぁ何せ笑いは取れたようなので、ここでは徳川の野望を封じましたね。一矢報いたり。

 えーっと、なんかよう分からなくなりましたが、岸和田の旅、後一回だけ続きます。

次回「最終話・さらば強敵(とも)よ。粘土細工師の帰還編(仮)」へ続く。
関連記事

Comment

いやいや~

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

いやいや~全員ほんとうに、豪華メンバーでしたよ。ご謙遜です。
来年度も、こういう集まりをしたいと思ってます。
そのためには、先立つものをかっぱらい・・・いやいや、取得しないといけませんね。楽しい作業です。

Re: いやいや~

> 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
こちらこそ、よろしくお願いします。

> いやいや~全員ほんとうに、豪華メンバーでしたよ。ご謙遜です。
いやいやいやいやいや、私はどう考えても「お前誰やねん?」でしょう(笑)。

> そのためには、先立つものをかっぱらい・・・
私もこれから来年度の予算取りです。出来ることとやりたいことのバランスが難しいですよね。
まぁだいたい削られますけど…。
非公開コメント

被災していない私たちの手で
(公社)日本愛玩動物協会
妻が長野支部の事務局長を務める団体の協会本部で、被災動物救援活動を行っています。
ようこそ A.E.G Cafe へ

A.E.G

Author:A.E.G
ここは標高1200mにある
「A.E.G自然史博物館」の喫茶室です。
ごゆっくりおくつろぎ下さい。

関連サイト
カテゴリ
館長のつぶやき
最新コメント
おじゃまいたします
主に古生物について
ふらぎ雑記帳
タブリンの窓
umrおかめ通信
左上腕骨内側
ヤマモト生物模型作業週報

主に犬について
犬3頭と夫婦のノンビリ生活
座敷わらし犬とうさぎガーデン

主に考古学について
八ケ岳だより
日々のできごと、ときどき考古学

お友達のブログ
Lotus Root Design
めいのはま日記
縄文遺跡の上にある「富山県朝日町」お散歩日記
ぽこぽこ手帳

NATIONAL GEOGRAPHIC NEWS
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
ブログ内検索
RSSリンクの表示