蛇体把手土器の研究(1) 報告と、少しだけ決意表明


 さて、一回パスした話題です。

 先々週の金曜日、辰野町美術館と信州豊南短期大学の合同による、考古学講座の講師を務めさせていただきました。通常の授業と違い、学生さん以外にも一般の方が大勢で、与えられたテーマが「考古学の魅力」という、実はなかなか難しいものでした。それでも私なりに、考古学との関わり方とか、研究に臨む姿勢とか、そんなことを話したつもりです。
 その中で、話題に取り上げた土器があります。
 それがこの土器。長野県東筑摩郡の朝日村熊久保遺跡という遺跡出土のものです。詳しい方なら縄文時代中期、今から4,500年位前の土器とお分かりでしょう。ちなみにこれは「把手」と呼ばれる、土器の口の上に付く部分です。
 初めてこの土器を目にした時の衝撃。それ以来十余年、こいつが何なのか、何処から来たのかが知りたくて、しつこく、しつこく追っかけました。。あちこちから類例(よく似た土器)を探し出し、その変遷を考えることで、自分の疑問に答えを見出そうとした、そんな過程を紹介しました。素朴な疑問を如何に学問として展開させていくかを話したつもりです。

 そして、その翌日の東京。実は母校明治大学の「大久保忠和基金考古学研究奨励金」を頂けることとなり、その授与式に行ってまいりました。研究内容は、まさに上記の土器たちに対し、それが作られた場所を知るため、土器に対して化学的な分析を行うというものです。

 実は、私とこの土器を巡り合わせてくれた人は、もうこの世にはいません。あなたがいなければ、私は長野に来ていたかどうか、考古学を続けていたかどうか。この土器を見るたび、あなたを思い出します。
 そしてもう1人、先に旅立ってしまった先輩。今回の基金は、あなたの残したものです。何年もお墓にも行かずにすみませんでした。一緒に何箇所も掘りましたね、東京の西の方で、汗だくになって。熊久保にも来てもらいました。私はもうとっくに、あなたの歳を追い越して、それでもまだ、あの遺跡に通います。

 私の勝手で「あなた達の分まで」なんて言いますが、研究者の端くれとして、もう少し追求してみます。あの土器が何なのか、どこから来たのか。
 舞台は長野全域、そして山梨県から東京西部。昔のように、脱線しがちな私の好奇心の行方を、どうか見守っていて下さい。
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