北の海に、八ヶ岳の旗ははためくか 〜北海道の旅前編〜

 飛行機が不安だの資料作りが進まないだの、散々ぶつくさ言っていた北海道への旅、おかげさまで目的を果たし、無事帰ってまいりました。まぁ、すでに2週間以上経ちますが…。
 とにかく思い出がたくさん過ぎて、どんな切り口で書こうかと悩みましたが、今回は「海のオサレ縄文人」こと、青野友哉氏とのことを軸に、お礼も兼ねて書こうと思います。

 長いです。

 そもそも今回は、「第18回伊達噴火湾縄文まつり」初日シンポジウムの講師としてお招きを頂いたものですが、直接の黒幕は、前述の青野氏。おそらく考古学研究者、特に北海道界隈では、もはや彼の名を知らない方はいないのではないでしょうか。北海道考古学の若きリーダー的存在で、各方面からの信頼も厚い、そんな人です。
 で、その青野氏と私は大学の同級生。まぁまぁお互い余計なことも知っている仲ですが、今回はつまり彼の招きであったわけであります。

 さて、一応時系列で書きますと、そもそも飛行機に乗って降りるところが、私的には今回最大の難関だったわけですが、そこは意外にもあっさりクリア!出来るじゃん、俺。

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主翼の脇の席。雲海もキレイ。

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千歳からの車窓も、目を楽しませてくれました。山の人は、海を見るとそれだけで興奮します。

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伊達紋別駅に降りたつと、早速ポスターが。やるな青野さん。

 しかし改札を出ると、車で迎えに来てくれるはずの青野氏がいない。不安にかられましたが、やがて彼は現れました。まさか、車で寝てたか?(笑)

 さて、彼は学生時代、毎日同じ服を着ていた(やや誇張)ようなやつでしたが、卒業後、いや結婚前後からなのか、なぜか妙にオサレになり、パリッとした服装でも知られていたので、私は構えました。今回は通常の講演の他に、青野氏との対談も用意されているわけですが、そのテーマが「海の縄文人 vs 山の縄文人」。つまり、山の縄文として戦いに臨む私が、まずここで負けるわけにはいかないのです。
 しかし、あれ、なんだ作業着じゃん。そうか、この日は金曜日。仕事日ですよね、ふつーに。

「おぉ、久しぶり」
「いや、5月に会ったよね」

 などと軽く牽制し合いながら、この日と翌日の午前中は、伊達市内を中心に、素晴らしい遺跡とその出土品を堪能させてもらいました。
 伊達市は、噴火湾に面する街で、その名の通りあの戦国武将伊達政宗の一族が、明治期に入植し開いた街であります。暖流が流れ込み、北海道の中でも比較的温暖な気候だそうです。そして、縄文時代や続縄文時代の素晴らしい遺跡が数多く存在することでも有名です。以下、そのうちの一部を紹介。

【史跡北黄金貝塚】
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 まずは、言わずと知れた史跡北黄金貝塚。こちらは縄文時代早期から前期、中期が中心。貝塚や住居の復元のみならず、現在も水の湧き出る水場遺構も目にすることが出来ます。また、縄文時代の植生を再現する植林も行われていました。

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 海の縄文人、何でも食べ過ぎ。

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 この遺跡から特に多量に出土する石器、すり石(北海道式石冠)。その本来の用途とは?青野氏も首を傾げる。

【有珠モシリ遺跡】
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 こちらは海に突き出た有珠モシリ遺跡。続縄文(本州では弥生時代の頃)の遺跡です。

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 石器と骨角器の組合せの銛。これは感動ものです。久々に遺物を触ってゾックと、いや違う、ゾクッとしました。

【史跡入江・高砂貝塚(洞爺湖町)】
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 遺跡に隣接する資料館では、両貝塚の出土品を見ることが出来ます。まぁどれも凄いのですが、特に北海道にはいないはずのイノシシの製品に注目。なお、遺跡では貝塚の断面も見学可能です。

【若生(わっかおい)貝塚】
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 実際に見学したのは講演後ですが、学史的にも重要な遺跡の再調査だそうです。伊達市教育委員会の永谷幸人さんにご説明頂きました。
 こんなん、私には掘れない…。

【その他?】
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 ちょっと寄り道してもらって、昭和新山から有珠山周辺も。いや、火山感、半端ないっす。


 で、行く先々で、青野氏からいろいろ説明をしてもらうわけですが、なんかこう、分かるんですよね。彼ががしっかり勉強し、様々な苦労を重ねながらも、この土地で活躍していることが。
 あぁ、大学卒業して19年、差がついたよなぁとか思いつつ歩きました。

 もうここの時点で、勝てる気がしない。

 さらに、今回は青野氏の自宅に泊めさせて頂いたのですが、この家のオサレ感がまたヤバいのです。どのくらいヤバいのかと言うと、今すぐ「渡辺篤史の建もの探訪」が取材に来ても問題ないレベルですよ奥さん!
 いやしかし、あの風呂のないアパート(よく泊まったけど)に下宿していた青野さんが、こんなにオシャレで、素敵なお家に住んでるなんてね。しかも奇麗な奥さんと可愛い息子さんと、なんかもう絵に描いたような幸せ家族ですわよ。
 おまけにあれですよ、講演会当日の朝には、あのキザ縄文人、
「藤森がそういう格好なら、あれだな、あの色のシャツ、どこしまったっけ?」とか言って二人でイチャイチャするわけですよ・・・いやもう、思い出したら腹立って来ましたわ!

 まぁ、友人が幸せでいる姿を見られるのは、悪くないですけどね。
 
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 なお、ここで繰り広げられた、「海山旨いもの合戦」については割愛(笑)。一言、雲丹美味しかったですが、ソーセージも美味しかったでしょ?
 もちろん、奥様には何から何まで、手料理まで出して頂き、本当に感謝しております。


 というわけで、青野氏の実力から、おもてなし力から、噴火湾縄文文化の凄さから、すでに山の縄文人は敗戦ムード濃厚なわけですが、少し二日酔いの私は、用意した資料を見返すこともなく、講演・対談に臨むのであります。果たして、その勝敗は?

・・・後編に続く
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