魚は、ヌルヌルする。

 職場にて、都会から来た子どもたちの相手をしている。

 マス掴みをやった。川に網を張り、離したマスを追って、子どもたちは大はしゃぎだ。生まれて初めて魚を触った子もいるらしい。ヌルヌルして気持ち悪いそうだ。
 まあ、それは仕方ない。

 喧騒のあと、私は残ったマスを追う。人間と格闘し疲れ切ったマスは、比較的簡単に捕まえることが出来る。
 何尾かを捕らえ一休みした後、2匹が並んで泳いでいるのが見えた。スッとタモを向けたが逃げない。チャンスだ。
 だが、私は急に弱気になった。

 この魚も生きている。

 そう思った途端、手にしたタモは重くなり、膝まで川に浸かった足も動かなくなった。優しさではない、毎日肉も魚も喰らう人間のエゴだという自覚はあるものの、川の流れの音さえ、耳から遠ざかる。


 結局、1匹はタモですくい、岩場に逃げたもう1匹は手掴みして、子どもたちに渡した。すぐに炭火の上である。

 せめて彼らには、切り身ではないヌルヌルした命から、その重みを感じ欲しいものであるが、果たして…。
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