熊久保遺跡 思い出とこれから

 昨日は、個人的研究のために借用していた資料の返却を行った。ここにも度々か書いた、長野県朝日村熊久保遺跡出土の縄文中期土器である。個人的思入れが非常に強く、返すのに淋しい気持ちになったくらいだ。もちろん所有欲は微塵もないのだが、それにしてもこんな気持ちは初めてだ。

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 返却した中期土器の一部。

熊久保蛇体土器完成図
 作製した実測図。はじめてのデジタルトレース。
 私の説が正しければ、この土器はここで作られたのではなく、もっと八ヶ岳に近い場所で生まれたことになる(藤森英二2012「鉱物分析を利用した縄文時代中期中葉における同一系統土器の伝播経路 -尖石遺跡蛇体把手土器の子孫達 その2-」『長野県考古学会誌』140号)。しかし理由はどうあれ、4000年以上眠っていたのはこの場所だ。またしばらく眠るといい。


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 熊久保遺跡の上に建つ、朝日村歴史民俗資料館。この場所に来ると、楽しかった日々や仲間の顔、そして亡くなった樋口昇一先生や小口達志さんのことが、否応無しに思い出される。学生時代、長期休みの度に10日程は合宿を組んで、土器の復元に取り組んだ。考古学の楽しさを教わったのはここだ。

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 宿舎として利用させてもらったコテージ。一体何泊しただろう。

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 お風呂や食事はここで。もちろん自炊。私は食事当番をよくサボった(笑)。


 この熊久保遺跡、極めて重要な遺跡であり、優品と呼べるような遺物も数多いが、全てについての報告書が、まだない。
 20代の日々を、泣きながら笑いながら過ごした思い出の遺跡。自分ももう40になってしまったが、この先、力を注いでいきたい。
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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

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